今週の効果音

第11回押している音


最近、MPEG-4にものすごく興味があるんです。新しいことを知ることって、とってもわくわくすることなのですが、そのわくわく感が、これで何かできるんじゃないか、という期待にかわりつつあります。そのうちに、これで何か作ってみようという行動のプロセスに移るのでしょうが、そうなるのはまだまだ先のことのようです。

そんなわけで、提供フォーマットにTwinVQを追加しました。たしかに現段階ではマイナーなフォーマットではあると思うんですけどね、MPEG-4に採用されている圧縮形式だし、ちょっとした布石として。

あ、AAC(Advanced Audio Cording)については、あんまりよくわかっていません。5.1チャンネル再生だとか、他言語対応だとかいうくらいしか。


ハードディスクの中身をいろいろと探してみたら、何のために作った音なのか、いまではもう覚えていないような音が出てきました。開発の初期段階だったから、取りあえず作ってみた、という感じですかね。

どうせ使わない音だから、ちょっと遊んでみましょうか。

普段CDをよく聞くことがあると思うのですが、その時にCDによって、音の大きさが違うことに気付くかと思います。もしかしたら、無意識のうちにリモコンの音量調節ボタンに、手がのびているかもしれません。

もう少し注意してみたら、それはそのCDが発売された年代に関係していることに気がつくでしょう。92,3年付近を境にして、CDに収録されている音の大きさは、大きくなってきています。

どうやって音を大きくしているのでしょうか?原理は簡単です。普段、僕達はある程度の広さがある世界を見ています。それは多くの情報を受け取る必要があるからです。その分、個々の物体は詳しく見ることができません。しかし、虫めがねなどを用いてその物体に集中すると、見る世界は狭くなりますが、その分対象とする物体をよく見ることができます。

つまり、受け取る情報を制限することによって、対象とする情報を拡大させているのです。


さて、実際に作ってみましょう。これが、普通に作った音。

押している音
[ .aiff | .wav | .mp3 | .au | .rm (streaming) | .vqf ]

push tone
fig.11-1 押している音 (876ms)
push tone
fig.11-2 押している音(拡大) (876ms)

で、これが大きくした音。

押している音(+3dB)
[ .aiff | .wav | .mp3 | .au | .rm (streaming) | .vqf ]

push tone
fig.11-3 押している音(+3dB) (876ms)
push tone
fig.11-4 押している音(拡大)(+3dB) (876ms)


この場合、切り捨てた情報というのは、あるレベルより大きい音の部分です。fig.11-4で、切り取られて平坦になっているのがわかると思います。

これを非線形というのでしょう。ふつう非線形になると歪みが生じてノイズが発生するのですが、それをノイズが発生しないように、適当に調節しています。ギターのエフェクトで、ディストーションというものがありますが、それは、この非線形な状態をうまく調節しているわけです。

市販のCDも、これと似たような事をしているのですが、そこはさすがプロ。それぞれのノウハウがあるわけです。聞いてみると、不自然には感じないのです。この技を盗みたいのですが、その前に自分の耳を鍛えるのが、まず最初にするべき事ですね。


今週の効果音では、以下のフォーマットで、効果音を提供しています。
[ .aiff ] 44.1kHz,16bit
[ .wav ] 44.1kHz,16bit
[ .mp3 ] 44.1kHz,16bitの.aiffを52Kbpsで圧縮
[ .au ] 44.1kHz,16bitの.aiffを8012Hz,16bit,mu-lawで圧縮
[ .rm (RealMedia) ] 44.1kHz,16bitの.aiffを16Kbps Voice - Widebandで圧縮 .rmのプレーヤーは、こちらから。
[ .vqf (TwinVQ) ] 44.1kHz,16bitの.aiffを64Kbpsで圧縮 .vqfのプレーヤーは、こちらから。Macな人は、SoundVQ Playerを使用して下さい。

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