今週のドリーム

第1回 少年時代

小学生の時、近所にはドラえもんにでてくるような空き地があった。
土管があり、積み重ねてある。
そこに「秘密基地」と称したスペースを設けることによって、親の目から離れたところに社会を形成していた。
土管は隣接しているので、他人の領地を侵すと戦争になる。

さて、 基地になにを持ち込むか、は重要なテーマだ。
普通はお菓子などを持ち込む。基地でものを食べるというのは特別なことだった。

単なる土管だが、 僕らにとっては唯一の占有空間だった。
土管ごとに「司令室」とか、「食堂」とか名前をつけて遊んでいた。

ところが、ある日、恐いおじさんがあらわれ、僕らを追い出す。
恐いおじさんの命令は絶対で、逆らうものなどいなかった。

そして、空き地の次に近い不思議な空間、雑木林に目をつける。
もう高学年になっていただろうか。

土管のように囲われた空間はなかったが、変わりに豊富な建設資材にあふれている。
家からひもを持ってきて、枝をしばり、木の葉で覆って、ダンボールを敷くと、立派な基地ができていた。
いくつかの基地ができあがると、チームに分かれて相手の基地を占領するゲームをはじめる。
攻撃手段は枝を組み合わせて作ったゴム鉄砲。
確かに当たったのに当たっていないと言い張るようなやつは、思えばその当時からいた。
中学でも、高校でも、大学でも、そういうやつは確かにいた。

やがてその秘密基地も、恐るべき柄の悪い「チュウガクセイ」の手によって破壊される。
中学生の恐怖におびえながらも、細々と基地を修復して楽しんでいる姿は、今だとかなり笑える。

家に一枚の絵が残っていた。
何かの賞をもらったものらしい。
見ると、土管が大量に積んである絵だ。
その1つ1つの土管の中の色は様々な色をしている。
今書くなら、その色はすべて同じになるだろう。

想像をふくらませて遊ぶという、偉大なる過去への過剰なまでの崇拝。
原点はまさにそこにある。

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