今週のドリーム

第7回 日本

 フィッシュ、サケ。

今度はノルウェー人が東京にやってきた。ビヨンという人だ。
まずは天ぷらを食わせた。
今日のディナーはテンプラだ、と告げると、彼はさっそくテンプラについてサーチエンジンで調べ始めた。英語の解説ページをいくつか見て、かなり興味を持った様子だった。
まず箸を使うのが難しい。
天ぷらは割となんでも食べていた。食材を1つずつ英語で紹介しようと試みるも、どうしても思い浮かばない名詞があったりして、しまいには「これはフィッシュだ」、とか適当に返したりした。
茶碗むしも説明に困る。あったかい日本のプディングとかなんとか説明した。
かなり適当だ。

さらに、さしみがでてきた。わさびがついてきたので、わさびをのせて先に食ってみせる。
同じように真似をして彼も食べた。
僕らはわさびのツンとくる感覚に慣れている。
しかし、あのときの彼の、僕を突き刺すような目を忘れない。
ちなみに、彼はでてきたものすべてに挑戦した。
唯一、生のほたては途中でやめた。
僕はその日の夜に福岡に戻ってしまったが、齊加さんは次の日、しゃぶしゃぶを食わせたらしい。

翌日、彼も福岡にやってきた。小倉にスタジオ見学にいったあとで、クロスFMのトギーさんと日本料理屋に行った。そこでもいろいろ特徴のある食べ物がでてきて盛り上がった。
彼はサケが気に入ったらしく、サケを飲んでいた。僕はあんなに日本酒を飲んだらつぶれてしまう。
最後に寿司がでてきた。
それまで思いもよらなかったことだが、寿司をはしで食べるのは、かなりはしの使い方に慣れていないと難しい。
そこで、僕が手を使ってたべて見せる。もちろん、わさびがそれなりに入っている。
彼も真似して食べる。そして、またわさびに彼はやられた。
しかし今回はすでにかなりサケが入っているので、おだやかだ。

次の日は網焼きの焼肉を食わせた。これはうまいといっていた。
実際、うまかった。

その後、バーに行った。
行くなり、彼は主導権を握った。
テキーラを人数分頼んだのだ。
それは断る暇もないほど素早い行動だった。
その夜はテキーラナイトと後によばれることになった。
彼は、テキーラナイトで、自分の生き方はバンジージャンプだと熱く語っていた。
自分を吊っているこのロープはいつ切れるか分からない。
しかしそれを疑って前に進まないのでは何も起こらない。
自分はそれを信じて前に一歩踏み出すのだ、と。

そして彼はノルウェーに帰っていった。
日本に対するビヨンのイメージはどんなものだろう。
ま、いいか。



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