今週のドリーム

第8回 なぎさの顔

五島列島は、長崎から西に100キロ。
そもそも事の発端は、日本の渚(なぎさ)百選。ご存知だろうか。
他にも日本には誇るべき、日本の滝百選、日本の道百選など、どこのだれの都合で選出されたものか不明なものが数多く存在している。。

さて、一人旅といえば早起き。深夜に腹が減っても、いかようにもし難い離島では、深夜3時に帰宅する最中に吉野家に寄って大盛をツユダクで入れたあと、コンビニによってお茶を手にとり帰宅して床に傾れこむといったマネはできそうにないことにただちに気づくだろう。

日頃朝4時に眠りにつく僕が、朝6時に起きる生活に突然かわったわけではない。
旅の1日目は、福岡空港から五島福江行きの中型機だった。
これでもかと降下したところでの意表をつく急旋回。
暗闇のジェットコースター並の不確定度は、旅のはじまりにふさわしい。

夜は7時に飯を食い、11時には眠りにつくという波に乗ることができなければ、つまりは苦しい夜を過ごしたあげくに、朝7時に魚に納豆に玉子に味付け海苔と味噌汁を食べることができず、目をこすりながら味噌汁をすするばかりという事態に陥る。

そこで昼寝を敢行する。
夜型の仕事から朝型の休暇にすばやく切り替えるには、これしかない。
朝8時にレンタカーで島を半周ばかりしてから、すばやく車中で寝る。
起きて温泉にでもつかってから、さらに半周する。
疲れて、おかみさんにビールを頼む辺りからいい感じになってくる。

あくる朝、向かうのは高浜。ひらたくいえば海水浴場なのだが、青というよりは緑の海の白い砂浜との対比は見事だ。

完全にシーズンオフの海辺で僕を待っていたのは、人形の頭だった。
漂着物だ。
この顔、どこかものがなしい。いったい何を僕に訴えようというのか。
上五島に渡ってからも、この表情は頭から離れようとしなかった。

そして次の日は雨だった。


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